カリキュラムの概要

イーノさんイーノさん

これからインコタームズについて勉強するけど、インコタームズって何か知ってる?

新人くん新人くん

いや、全く分からないです。

イーノさんイーノさん

インコタームズは貿易初心者の登竜門と言えるほど、ちょっとしたハードルやねんな。

新人くん新人くん

例えば、どんな感じですか?

イーノさんイーノさん

EXW、FOB、FCA、FAS、CFR、CIF、CPT、CIP、DAP、DPU、DDP・・・

新人くん新人くん

呪文ですか!?

イーノさんイーノさん

これらを一つずつ理解しなあかんのよ。

新人くん新人くん

いきなりハードルが高い。。

イーノさんイーノさん

けど大丈夫。いきなり全部覚えようとするから挫折するねん。理解する方法にはコツがあるから説明していくね。

このカリキュラムで学ぶもの

インコタームズの概要を理解する
インコタームズの目的を理解する
インコタームズの各条件の大枠を理解する

インコタームズとは


インコタームズとは国際商業会議所(ICC)が取り決めた世界共通の貿易ルールです。

現在ではインコタームズ2020が適応されており、「インコタームズ2000」「インコタームズ2010」と10年ごとに見直されています。

インコタームズの目的

インコタームズは輸出者(売り手)と輸入者(買い手)との間で、「費用」と「リスク」の負担を明確にした取り決めのことです

貿易取引は言葉や規制が同じの国内での取引とは違い、言葉・規制・商習慣が違う外国から製品を購入、輸送をするので様々なトラブルが発生しがちです

そのため国際的な共通のルールがないと、問題が発生した時に責任の所存が曖昧となりトラブルが解決しません。

イーノさんイーノさん

貿易は基本的に輸出者(売り手)輸入者(買い手)を中心にして考えるの。

新人くん新人くん

費用リスクの負担って何ですか?

イーノさんイーノさん

商品を外国から送る時には輸送費用が発生するのは理解できるやろ?送料を誰が負担するんですか?と決めなあかんよね。

あと輸送中に貨物ダメージが発生するから、それは誰の責任ですか?と明確にしなあかんよね。

新人くん新人くん

貨物ダメージ。。

イーノさんイーノさん

貨物ダメージなんて実務では頻繁にあるからね。

まずインコタームズの主要なポイントを整理しましょう。

インコタームズの主な取り決め

(輸出者 or 輸入者)が
どこからどこまで
費用(海上/航空の運賃・港湾・保険・トラック・通関・税金など)と
リスク(貨物ダメージ・紛失など)
を明確にしたもの。

インコタームズに法的な強制力はない

インコタームズはあくまでも世界共通の”ルール”であり、法律ではありません。適用するかどうかは売り手・買い手の双方の任意になります。

その為に現在のインコタームズ2020では撤廃されている貿易条件であっても、使用することが出来たりします。

イーノさんイーノさん

いまだにインコタームズ2000で撤廃された”DDU”を実務でよく見かけるからね。


新人くん新人くん

ということは、覚えなければいけないものが多いのでは。。


イーノさんイーノさん

大丈夫。よく使うやつは限定的やから。実務で全部は見たことないし。

インコタームズの貨物の受け渡し場所


インコタームズでは取引する貨物を輸送するにあたり、①誰が・②どこからどこまでの・③費用と④リスクを負担するのかを明確にしています。

ここで重要になってくるのは②の「どこからどこまで」=「貨物の受け渡し場所」です。

イーノさんイーノさん

通販で買った商品の受け渡し場所は主に家やろ。運送会社さんが家まで持ってきてくれるけど、国際物流では複数の受け渡し場所が存在するの。


新人くん新人くん

なるほど。複数の受け渡し場所ですね!メモメモ

まずは大まかに以下の4つの受け渡し場所を理解しましょう。

受け渡し場所

1. 輸出側の工場・倉庫
2. 輸出側の港など
3. 輸入側の港など
4. 輸入側の工場・倉庫

インコタームズの4つのグループ

インコタームズは全部で11条件あり、いきなり全ての条件を覚えるのは困難です。なので最初はこの11条件を4つのグループに分けたものを理解しましょう

イーノさんイーノさん

ここで注意!一気に全部 覚えようとしたらあかんで!

4つのグループ

1. Eグループ:輸出者の工場・倉庫
2. Fグループ:輸出側の港など
3. Cグループ:輸入側の港など
4. Dグループ:輸入者の工場・倉庫

このように4つの受け渡し場所に、それぞれグループ名があると理解しましょう。

イーノさんイーノさん

あくまでインコタームズの全体像を簡単に理解するための方法で、正式なものではないから。

新人くん新人くん

承知しました!

Eグループ:引渡し場所 – 輸出者の工場・倉庫

まずはEグループです。Eグループでは輸出側の工場や倉庫などで、貨物を輸出者から輸入者に受け渡して、費用とリスクの負担が輸出者から輸入者に切り替わる条件です。

輸出者としては製品を作って、工場で引き渡しをして取引完了となり、引き渡し後の輸送費用と貨物ダメージなどのリスクは全て輸入者が負担する条件です。

Eグループの費用・リスク負担

・輸出者:工場で貨物を引き渡した後は負担なし
・輸入者:輸出側で貨物を引き取ってから全ての費用とリスクを負担

Fグループ:引渡し場所 – 輸出側の港など

次にFグループでは、貨物の費用とリスクの負担が、輸出側の港などで輸出者から輸入者に切り替わる条件です。

代表的なものにFOB(Free on Board)という条件があり、これは輸出側の港で貨物が船に乗せられた時点で受け渡しが完了し、費用とリスクの負担が輸出者から輸入者に切り替わります。

Fグループの費用・リスク負担

・輸出者:輸出側の港までの費用とリスクを負担
・輸入者:輸出側から貨物を引き取ってからの費用とリスクを負担

Cグループ:引渡し場所 – 輸入側の港など

そしてCグループは貨物が海・空を渡って輸入地に着いたときに受け渡しが完了します。

Cグループの費用・リスク負担

・輸出者:輸入港までの費用とリスクを負担
・輸入者:輸入港から貨物を引き取ってからの費用とリスクを負担

イーノさんイーノさん

ここで注意!Cグループでは“費用”と”リスク”の切り替わる場所が違うトリッキーな条件やねん。でも、まずは大まかに輸入側に着いたときに切り替わるというイメージを理解しよう。

新人くん新人くん

ちょっと何言ってるか分かんないっす。。

イーノさんイーノさん

とりあえず、ここはこういうもんや!というので理解しといて!詳しくは別のカリキュラムで説明するから。

Dグループ:引渡し場所 – 輸入側の工場・倉庫

最後にDグループです。Dグループは貨物が輸入者が指定する場所に到着した時点で費用とリスクが切り替わります。

通販で送料無料の商品を買った時と同じように、輸出者が配送完了までの全ての輸送費用、貨物ダメージ・紛失などのリスクを負担する条件です。

イーノさんイーノさん

通販の送料無料は、送料を販売者さんが負担しているだけで、送料の存在を忘れないでね

新人くん新人くん

でも送料無料って書いてあるとお得!と感じちゃうんですよね。

イーノさんイーノさん

その背景で物流業者さんがちゃんと仕事したはんねん。送料は無料とちゃうねんで。

Dグループの費用・リスク負担

・輸出者:輸入側の届け先までの全ての費用とリスクを負担
・輸入者:貨物を受け取るまで負担なし

受け渡し場所とグループのまとめ

このカリキュラムの最後に貨物の受け渡し場所とグループをまとめてみましょう。

イーノさんイーノさん

EグループとDグループが対比になってるの。

新人くん新人くん

FグループとCグループが対比になってますね!

それぞれのインコタームズの条件を覚えるには、最初に大枠を理解することが大切です。次のカリキュラムから各グループのインコタームズの条件を詳しく学んでいきましょう。

動画で解説

練習問題

本章で学んだことを練習問題を解きながら復習しましょう。できるだけカリキュラムを見ないで解くことをお勧めします。「思い出す」という行動によってより記憶が定着します。

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イーノさんイーノさん

分からんことがあったらここから質問してな。

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